万葉仮名について
この作品「白銀母(しろかねも)」(山上憶良の歌)で憶良は、助詞の「も」の当て字を「母」にしています。愛妻家で子煩悩な憶良らしい……。当て字のチョイスに作家の個性が光ります。
「万葉仮名」とは、漢字一字に一音をあてる日本語の書き方で、主に奈良時代の『万葉集』に使われていました。簡単に言うと、落書きの「夜露死苦(よろしく)」や「愛羅武勇(あいらぶゆう)」のような「当て字」です。
『万葉集』は、現代では「漢字かな交じり文」で表記されていますが、もともとはすべて漢字で記されていました。つまり、当時の歌人・柿本人麻呂、山上憶良、大伴家持らは、日本語の音に漢字を当てはめる「当て字」に奔走していたのです。
この事実を大人になって知り、大変驚きました!
どの漢字を「当て字」にするかは各人の自由。万葉人たちは、その「表記」に思いを込め、さまざまな工夫をしていたのです。

万葉歌を読んでいると「人の心」はいつの時代も変わらないことを感じます。
「万葉仮名(篆刻)」と「漢字かな交じり文(書)」を一つの画面することで、時代が移ろうとも変わらない「人の心」を表現できたらと思っています。
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